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A.T/制作日々


by flaneur555

こわい写真集

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最近、ポツポツと購入した古本に4冊の写真集があります。
上の2枚は荒木経惟さんの[ゼロックス写真帳]荒木経惟写真全集(平凡社)の13番。1996年発行。全20巻の全集、このゼロックス写真帳だけみつけるたびに何冊も買っている、古書価は安いけれど本当に良い本です。サラリーマン時代、会社のコピー機で手作りした和綴じの本を複写して載せていて、それまであまり好みではなかった荒木さんの写真をより注意深く意識して視るようになったきづきの本です。たぶんゼロックスの操作でソラリゼーションのようなコピーエフェクトと浅い黒のトナー色がすごい!ムナーリの創ったゼロックス本と双璧です!

次の写真集は稲越功一さんの[meet again](写真評論社)1973年発行。すべてブラウン管に映るイメージの複写で走査線が出ないほどアウトフォーカスのぼんやりエフェクト。
当時のコンポラ写真っぽい感じ。これも黒が浅くてうすら寂しい感じ。

次は森山大道さんの名作[写真よさようなら]の復刻版(星雲社)2006年発行。元版は写真評論社1972年発行ですごい高い!ブラウン管や印刷物からのイメージの複写や、傷やヨゴレだらけのネガから焼かれた物質感だらけのスナップなど、僕が手に取って見た事がある森山大道さんの写真集の中で一番すごいと思う。暗室ポスプロエフェクト!黒が黒い!元版のグラビア印刷だったら(見た事無いけれど)何倍も強烈な黒のはず!今サイトで調べたら青山から金沢に移転したオヨヨ書林さんがダメージあり元版を格安で売っています!以前この本と兄弟の様な、中平卓馬さんの[来たるべき言葉のために]1970年発行ボロボロ元版をオヨヨさんに買い取ってもらった事があり、目利き腕利きのオヨヨさん金沢でもやっぱり良い本を集めている。

一番下の写真集は荒木経惟さんの[死現実](青土社)発行年未記載で、とにかくものすごい!ページをめくるたびに呪われそうで怖い!今までに僕が買ったすべての写真集の中で一番ビックリした!タイトル、作者名、出版社名以外文字が無く奥付けも無く裏に値段とバーコードだけ。荒木経惟さんの撮影済みネガが長年の保管中、偶然水に濡れてグシャグシャになったくずフィルムから、再度焼いた写真だと以前[死現実]が数ページ掲載された雑誌で知っていた。この時の記憶では[死現実]1998年発行。まだ家のどこかに掲載誌があるはず。なぜかこの時掲載された図版の写真集が世の中に存在すると考えもしなかったのは、あまりに自分が思う普通の写真とは違っていたため写真集にはなっていないと思い込んだから。これらの写真群、すさまじい偶然のナチュラルネガティブエフェクトが表面を覆い尽くして映っている図像がほとんど見えないオバケ写真。黒はさらに黒い。この本、内容は完全に定価以上!まだ古書価は控えめだけれど必ず高くなるはず!僕が資金潤沢な古本屋だったら絶対買い占めます。気になる人はお早めに!

この4冊の写真集は似ていると思う。この順番でどんどんと写真は黒々と恐ろしくなっていき異界へと突き進んで行く。
追記。ページを押さえている白い丸いのはサンゴで犬の散歩中、山手道り歩道にポツンと落ちていたのを拾った。これもよく考えるとこわい。
by flaneur555 | 2010-04-05 20:36 | 古本