A.T/制作日々


by flaneur555

勅使河原蒼風と中川幸夫と古本

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今日、以前から探していた本、世田谷美術館での勅使河原蒼風展図録を買った。生け花についての知識は何も無いけれど、蒼風さんの木彫オブジェが昔から好きだった。本の中で中川幸夫さんが郷里でたった一度だけ個展をひらいた後に上京した際、自費出版した作品集(500部限)を直接アトリエを訪ね進呈したという。
巨大草月流家元と新進孤高天才花人との出会いにどんな化学反応があったのか、すごく気になる。
2人の花は、古典の生け花に比べればかなり似ている様にも感じられるけれど、
今まで、まったく違う道を歩んだ華道家どうしだと勝手に思いこんでいただけに、とても驚いた。
一人は千人単位の弟子を持つ家元、かたや流派も捨てて、たった一人で前衛を走り続けた極北の花人。同時代、まるっきり環境の違う2人の華道家が作品集の図版の中では共鳴しあっている。同じ方向にむかって仕事をしていたように感じる。

以前、NHKの番組で中川幸夫さんのドキュメントを撮影した時の話を関係者の友人から聞いた事がある。フランスから中川幸夫さんに合いに来た美術関係者が、代々木上原のクリーニング店2階の古い木造アパートからあらわれた中川さんにたいへん驚かれたと。あれほどすばらしい仕事を残してきた芸術家が一間か二間の家に住む事が信じられないと!   孤高の前衛に冷たい日本!
中川幸夫さんの古い作品集はどれも古書価が高いけれど当の作家に還元されるわけもなく、このあいだ新刊本屋に89年刊『中川幸夫の花』求龍堂の復刻廉価版が並んでいました。これは新刊で買わなくてはいけません!

古本好きならば、知らない本でもその著者や装幀、紙質やデザイン、発行年やそのたたずまいで古書価がつきそうかどうか何となくわかると思う。この眼を生の芸術に適用できたら、生活のなかで活用できたら、本物を見抜けたらと考えるけれど古書価と本物価もまた違うんだろーなーとも思う。古書価にだけ詳しい古本屋はつまらないし、本物だけ並べてたら数が足りなそう。玉石混淆がちょうど良いかも。

僕の蔵書を販売してもらっている神田司町にあるベジカが移転のため3月いっぱいで閉店します。本駒込の古い一軒家にギャラリースペースを併設して再開しますのでご期待下さい。
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by flaneur555 | 2010-03-09 02:03 | 古本